ダイバーシティ・カウンセリング・ニュージーランド

2013年9月にダイバーシティ・カウンセリング・ニュージーランド(DCNZ)は、チャリタブル・トラスト(日本で言えば、NPO法人)としてスタートしました。

私たちは、英語だけでなく、他の言語でもカウンセリングを提供できるカウンセラーのグループです。それも、すべてのカウンセラーがカウンセリングの訓練を受け、職能団体に属しています。そのため、専門的なカウンセリングを提供することができます。

ニュージーランドにおいて、困ったとき、苦しんでいるとき、辛いとき、相談したいときに、自分の言語を用いてしっかり話すことができる場所はなかなかありません。なぜなら、ほとんどのサービスは、英語またはマオリ語で提供されているからです。

相談したい人が十分に英語の言語を身につけている場合には、英語で提供されている相談機関に相談することができます。

しかし、私たちは、十分に英語の能力が身につく以前の状態にある人びとに対するサポートの必要性を特に考えているのです。英語を十分に話せないときに、自分の身に起きていることしっかり説明することができるはずもありません。また、自分の気持ちを十分に表現することもできないのです。

残念なことに、たとえ相談したとしても、徒労感だけが残る場合もあるのです。

 

このような徒労感は、英語をうまく話せないということだけで生じるのではありません。それは、ニュージーランドの文化や習慣などしか分からないカウンセラーが、他の国からきた人びとの気持ちや感覚を十分くみ取れないことからも生じている可能性があります。

英語でしどろもどろになりながら伝えても、結局、カウンセラーが自分の意図とは異なったように理解しているのを感じるとき、自分の英語の能力の未熟さを嘆くことになります。これは、英語の未熟だけの問題ではありません。実はカウンセラーが相談者が何を伝えようとしているのかについて、ピンとこないため、分かってくれないということなのです。

ある程度、英語が話せるようになったとしても、相手が分かってくれないという状況がいつまでも残りますので、これは言語だけの問題ではないと見なすことができます。カウンセラーが相手を理解する能力(想像力と言えるかもしれません)に依存しているのでしょう。

 

他の国からニュージーランドに移り住んだり、勉強しに来ている人びとのすべての言語で、カウンセリングを提供することはできません。言語の数が多すぎるからです。

しかし、DCNZのカウンセラーは、他の文化圏や言語圏からきた人びとに対する理解力、受容力、想像力を磨きながら、相談相手が十分な英語で話すことができないとしても、「分かってくれた」と相手が感じてくれるようなカウンセリングを提供していきたいと考えています。

これを実現するためには、少しずつカウンセラーの力を磨きながら、徐々に発達させていく必要があると考えています。そして、たぶん、このような絶え間ない研鑽をやめることもできないことなのでしょう。

 

ダイバーシティ・カウンセリング・ニュージーランドは、すでにいくつかの言語でカウンセリングを受け付けております。ここでカウンセリングとは、あまり特殊な状態に陥ってしまった人たちにためのものではないことをお伝えてしておきます。

カウンセリングという言葉は、何かかしこまったことを想像させてしまいますし、しっかりとまとめて話ができないといけないのではないかという気持ちを起こさせるかもしれません。しかし、カウンセリングは、とりとめのない話、行き先のない話、結論のない話、確信のない話をするものです。心配なこと、不安なこと、気がかりなことは、人に話すことによって、ある程度整理することができます。「相談」という改まったものでもなくてもかまいませんので、気軽に話に来てください。

Writtern by Kou Kunishige

 

New Zealand / Landscape / Nature

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